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おくちのなかのはなし

「顎関節症」ってなんですか?

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いつも読んでもらってありがとうございます。アラサー歯科医sasakkyです!
今月はプライベートトークばかりでしたので、久しぶりに本業の「歯科トーク」をしようと思います。
10月最後の今日は「顎関節症頭蓋骨」のおはなしです。

↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 

まずは、「顎関節」ってどこにあるかご存知ですか?

顎関節は耳の穴の前にあるぽっち(耳珠といいます)のちょっと前で、指で押さえながら大きく口を開けると、通常はボコっとヘコむ部分にあります。

この時に、痛みがあったり、コリって音がしたり、どちらかがヘコまなかったりする方は「顎関節症」の可能性がありますが、「音がする」だけで「痛み」や「口が開かない」などの症状がなければ、特には問題ありません。

ところで、この「顎関節症」という言葉、有名なうえに便利なので僕たちもよく使うのですが、実は「顎のあたりになんか症状がある状態」をまとめて「顎関節症」と呼んでいるだけで、正式な病名ではありません。実際には症状によってもっと細かく分かれていて、原因も治療法も違っています。

では、「顎関節症の原因」にはどんなものがあるかというと…
異常に大きい口を開ける、硬いものを咬む、スポーツ・仕事・楽器演奏などで片方ばかりを使う、食いしばり、精神的な問題、咬み方の問題、癖、咬み合せ、リウマチ、ケガなどなどいろいろあって、どれか一つだけが悪いというわけではなく、いろんな原因が複雑に絡まり合って、「顎のあたりになんらかの症状」を出していると考えられています。

僕らは、このいろんな原因を
1、もともと顎関節症がおこりやすそうなタイプかどうか?
2、症状が始めて出た時のきっかけがなにか?
3、症状を長引かせているものはなにか?
の3種類に分けて考えながら、その人の症状にあった治療を提案しているわけです。

しかぁし!!!!
20世紀ももうすぐ終わりますよという1996年。
National Institutes of Health(通称NIH:アメリカの厚生労働省)が「顎関節症」について革新的な発表をしました。

なんと、「顎関節症」の様々な症状は、ほとんどの場合ほかっておけばそのうち治る!というのです。

どこかの大学の研究者が発表したんじゃなくて、あの「アメリカ合衆国アメリカ」が、顎関節症は「何もしなくても治りますよ」と言っているのです。
これは、凄いことです!
もちろん、無視するわけにはいきません!!

では、なぜ僕らは21世紀になっても顎関節症の治療をしているのか?という話になるのですが、これは「ほとんどの場合ほかっておけばそのうち治る!」の「ほとんどの場合」と「そのうち」という部分にポイントがあります。

どういうことかというと、
1、「ほとんどの場合」は治るが、なかにはほかっていては治らない人もいる。
2、治療した方が「そのうち」よりも早く治る。
3、さらに、自分のリスクについて知ってもらうことで再発を防ぐことができる。
というわけで、治るタイプなのかどうかを判断しながら、本来の治るスピードを早めるような治療をしているわけです。
具体的には、薬を使ったり、マウスピースのようなもの(スプリントといいます)で顎の関節にかかる負担を減らしたり、場合によっては顎関節を直接洗浄して痛みを取って動きを良くするなんてことをしたりもします。

歯科では永らく「顎関節症は咬み合せが悪い」ということで「歯を削る」という治療が多く行われてきましたが、この治療を支持する論文がある一方で、「実際は効果ない」としている論文もたくさんあります。
歯は一度削ってしまったら二度と戻りません!
ほかっておけばそのうち治るかもしれない症状に対して、二度と戻らないような治療をする前に、いろいろ試してみるべき方法があります。

口腔外科医としては、顎関節症治療にはまず「咬み合せ」以外の治療をするべきだと考えています。

今日は、顎関節症はほとんどの場合ほかっておけばそのうち治る!という真実についてのお話でした。

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