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あたまのなかのはなし

海老蔵さんは実際どうだったのか?

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こんばんはアラサー歯科医sasakkyです。
今日は、顔面骨折の手術をする者としてやっぱり気になる「市川海老蔵さんのケガ」について、ちょっと専門的にお話ししてみようと思います。

「殴られて血だらけで帰宅したボクシング」という海老蔵さん。
病名は「顔面陥没骨折」
一部では「顔が変わってしまうのでは?」「睨みが失われるのでは?」などと報道されていました。

僕らが遭遇する「血だらけの陥没骨折」というと、交通事故とかで顔がとんでもないことになっている患者さんですが、実際、殴られたくらいではなかなかそんなことにはならないもんです。(とんでもない顔面外傷も飲酒運転が減ったことやエアバッグの普及などで確実に減っています。)

CTとか見てみないと本当のところはわかんないですけど、記者会見の海老蔵さんの顔を見て想像すると、「顔面骨折」と言ってもおそらく軽症ですね。

術後10日にしては顔の腫れが少なすぎますし、しっかり折れると眼の周りにパンダみたいな内出血が出ることが多いのですが、それも無いです。
眼球の血腫は、眼の下の骨(眼窩底骨)が折れたりすると出ることもありますが、入院した病院の「耳鼻科」で行われた「上顎洞根本術(じょうがくどうこんぽんじゅつ)」という手術は、なんと骨折の手術ではありません!

報道の文脈では「骨折を治す手術をした」という印象を受けますが、(顔の手術をする人なら誰でも知っていることですが)「顔面陥没骨折(そもそもこんな病名ないですが…)」の手術は「観血的骨整復(固定)術」で「上顎洞根本術」ではないんです。

というわけで、
おそらく海老蔵さんの骨折は、鼻の左側の薄い骨(上顎骨の上顎洞前壁ってところ)が割れてへこんだだけで、そこから出た出血がすぐ後ろにある「上顎洞」という空洞に溜まっていたので、手術で口の中から取り除いた。もしくは、その「上顎洞」に風船を入れて折れた骨を押し上げたり止血したりしたんじゃないかなぁと想像します。

「血だらけ」の血も、あの顔から想像すると「鼻血」と歯が折れたことによる出血だったんじゃないかなぁ。

ただ、この「鼻の左側の薄い骨」は、頬を触った感覚を司る神経が出ているところですので、折れ方によっては頬がしびれているかもしれません。

「睨み」に関しては「感覚」では無く「動き」の神経の問題ですし、顔の「動き」の神経は全然違う場所を通っているので、おおかた問題ないと思いますが、歌舞伎ってのは表情が大事なお仕事ですので、皮膚の下に溜まった血腫や手術の瘢痕の影響で左頬が若干突っ張ることが気になる可能性はあります。

とはいえ、これだけ有名な芸能人が手術を受けるほどの立派な病院であれば、そんなことは当然わかっていることですし、しびれにも瘢痕にも血腫にも薬おくすり(ブルー)があります。

というわけで、ケガに関しては心配なさそうですが、いざこざの経緯は今後もいろいろ出てきそうで心配ですね。

今日は最近話題のニュースについて、ちょっと専門的に解説してみました。

では。

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