普段当たり前のように使っている「医療用語」のなかに、医療者にとっては当たり前だけど患者さんにとっては知らなくても当たり前な言葉って結構多いです。
そこで「伝わってなさそうだなぁ」と思った言葉をなるべくわかりやすく解説して、さらにどう言い換えたらわかりやすいかを考えていきたいと思います。
第1回目の今日は「抗生剤」です。
「ほんじゃあ抗生剤出しときますね!」って僕らは当たり前のようにいいますが、これちょっとわかりにくいと思います。
というわけで今日は、抗生剤について解説したいと思います。
抗生剤を理解するために、まずは世の中の「バイ菌」について知ってもらわなくてはなりません。
「バイ菌」は大きく3種類に分かれます。
・細菌:(虫歯、歯周病などの原因)
・ウイルス:(口唇ヘルペス、おたふく風邪などの原因)
・真菌(カビ):(水虫、カンジダなどの原因)
どれもちっちゃな病原菌で、詳しく話せばきりがないですが、まぁこの3種類に分かれてるんです。
そして、病気の原因が「細菌」か「ウイルス」か「真菌」かによって使うお薬が違います。
「細菌」が原因でなった病気を治す薬が「抗生剤」です。(ちなみに「抗生剤」って単語自体、本来は正確な表現ではないのですが、一般的にそう呼ばれてるので、ここではそのまま使います。)
ちなみにウイルスを退治する薬は「抗ウイルス薬」、真菌(カビ)を退治する薬は「抗真菌薬」といいますが、細菌の場合は「抗細菌薬」とはいいません。(「抗生剤」は「抗菌薬」といったりもします。)
私達の体に「細菌」が入ってくると、体の中の細菌を殺そうとする物質(免疫物質)が血管の中から出てきて細菌を退治します。そしてその死骸が「膿」になってたまります。
「膿」が出るってことは「細菌が体の中に入ってきてますよ!」ってことなんです。
この状態を治すために「抗生剤」を使います。
ですので「抗生剤」→「化膿止め」に言い換えてはどうでしょうか。
ところでこの抗生剤ですが、実はめちゃめちゃ凄い薬なんです。
もし抗生剤がなかったら、細菌が体の中に入ってきたら自力で治すしかないわけで、それこそ虫歯菌や歯周病菌が原因で、体の弱い方からどんどんお亡くなりになるはずです。
僕は医療がここまで発展したのは「麻酔薬」と「抗生剤」のおかげだと思っています。
今日は、わかりにくい医療用語シリーズ第1弾「抗生剤」でした。
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